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認定こども園らみどり

あぶくまの丘に寄り添う大きな屋根

須賀川市の中心部の丘陵地に立つこども園のプロジェクトである。須賀川市は、阿武隈川の氾濫から避けるために丘陵地に町ができてきており、本施設も里山を切り開いた都市公園であった。敷地内には 10 本の桜の大木が残され、隣地には野鳥 の集まる池や、江戸時代からの歴史のある翠ケ丘公園が街と共存している。 施主である事業者から、自然を生かした森のようちえんのような保育環境をつくりたいという意向があり、私たちもこの敷地にかつてあった里山を再生するような こども園にしたいと考えた。園庭の使い方についても、何度かワークショップを行 なって意識の共有をもつことにした。 建築としては、既存の桜の木を残し、丘の地形に取り付くような屋根をかけるよ うにした。また3・4m 材の地域材を生かし、一つ一つの保育室の家を象徴するよ うに S 字カーブを描きながら丘に寄り添ったギザギザ屋根としている。 縁側が中間領域となり保育室とあぶくまの丘である園庭をつなぎ、地域に対しても、妻面を閉じず、保育室からこども園の雰囲気が伝わることで、地域に受け入れてもらえるような計画とした。 構造については、縦ログ構法とし、それぞれの縦ログの壁が、300 角杉の大径木を支え、その上に架けた登り梁であるスギ、アカマツ ( 地域材 ) を支えるという構成である。1800m2 の木造であるが、別棟解釈により、2 つの木造耐火建築物の棟 を含む 5 棟に分割し、大部分をその他の建築物とすることで、木材を表しにした園舎ができた。また普及が模索されている規格外の大径木利用 ( 杉 360 角等 ) も行っ ている。福島県のプレカット会社は木材の3次元加工技術が優れており、この技術 を活かした構造である。 かつて地域を見守った寺社や教会のように大らかな園舎での生活が、幼児期の記憶に残る体験となり、かつてのあぶくまの丘がまたこの地域で再生することを願っている。

所在地 福島県須賀川市

設計───────────────
建築・監理 はりゅうウッドスタジオ
ランドスケープ・基本構想協力 STEP 徳永哲
構造 TAPS 建築構造計画事務所
設備 ZO 設計室
照明 ぼんぼり光環境計画
園庭アドバイザー 園庭研究所 石田佳織
ワークショップ協力:日本大学工学部 浦部研究室 宮崎研究室
BIMモデル作成援助 真建築研究所 峰設計

施工───────────────
建築 王子建設株式会社

規模───────────────
敷地面積 9,813.46 m²
建築面積 1,832.67 m²
延床面積 1729.02 m²
1 階 1832.67m2
建蔽率 18.68%(許容:60%)
容積率 17.62%(許容:200%)
階数 地上 1 階

寸法───────────────
最高高 9135mm
軒高 5969mm
主なスパン

敷地条件─────────────
地域地区 都市計画区域内 市街化区域 第1種中高層住居専用地域
第2種住居地域
法22条地域

構造───────────────
主体構造 木造 柱状改良
杭・基礎 布基礎

工程───────────────
施工期間 2022 年 3 月~2023 年 2 月

外部仕上げ────────────
屋根 ガルバリウム鋼板 0.4 横葺き
外壁 杉板t21 目透かし貼り ポリプロピレン黒色塗装防水シート
ガラスシリ ケート塗料

内部仕上げ────────────
床 無垢フローリング
壁 縦ログ表し
天井 収音石膏ボード

写真撮影 (早川記録)

 

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