南会津ふるさと物産館

まちの駅

建物概要

地域の交流場所となる様計画した農産物の販売所であり、まちの観光物産施設。室町時代から続く田島祗園祭で知られる田出宇賀神社・熊野神社参道からの軸線、隣接するモデルハウスとの軸線を意識して配置計画しました。

用途:店舗
所在地:福島県南会津町
延床面積:283.62㎡(1階建)
構造:木造
施工:丸惣建設株式会社
設計:はりゅうウッドスタジオ
竣工年:2011年

西面の神社側に対するファサードは格子組を見せたファサードとする。また長手方向に雁木通りを確保することで、雨天・降雪時の歩行者の安全確保と夏期の日差しとの緩衝帯の役割も果たす

建物東側には寄り付き易さを考慮してオープンスペースや自販機・トイレなどが配置される

展示販売コーナー中央の仲見世通りをみる

 

物産館の配置は神社の参道の軸と東側に建つモデルハウスを考慮して両面に広場を持つ計画となっている。

 

設計主旨
南会津町は旧田島町、南郷村、館岩村、伊南村の四つの町村が合併してできた新しい町だ。その旧田島町市街地のバイパスと、室町時代から続く田島祇園祭で知られる田出宇賀神社参道が交差する神社に隣接した場所が、今回の南会津町物産館の敷地となる。
観光向けに農産物販売を行う道の駅と違い、少量の農作物を作る近隣の兼業農家の方や、高齢者の方々の作る農作物を展示即売出来る施設として、バイパスに地方らしい景観と地元町民も対象とした地域の交流場を作り出す事を目的として建設された。周辺の文化施設に囲まれ、地場産の杉材によって組込まれた小屋組は、売り場空間の中に大断面の材料と違う賑わいと趣きを作り出す。
豪雪地帯でもある南会津町は、公共施設を作る場合に駐車場や隣地との離れ寸法を制限される場合も多くあり、今回の物産館についても落雪を前提とした切り妻を選定した。長手方向の雁木状の通路を確保する事で、歩行者の安全確保と夏の日差しからの緩衝帯を確保する事にもなった。棟木部分の雪割りの仕掛けと軒の深さがこの建物の外観的特徴となっている。
配置計画
配置ついては、田出宇賀神社・熊野神社の参道から引き込まれた軸線を生かしたものとなっており、祇園祭の神輿を想起させるような格子組の木架構をつくるなど、軸線にそった建築構成としている。祇園祭になじみの薄い来訪者に対しても軸線上の木架構は祇園祭を意識させる。昨年、子供歌舞伎の屋台を収納する木造の倉庫についても、中心市街地に2棟完成しており、そうした町内の祇園祭に関したまちづくりの拠点の一つになるように、本施設においても配置計画上や建築計画において役割をもたせるようにした。
隣接する地域型住宅のモデルハウスとの平行した並びが当初の計画であったが、本施設が平屋であることから、2階建てであるモデルハウスとの軸線をあえて外し、本施設とモデルハウスに囲まれた広場をつくることもでき、モデルハウスより低くなる本施設の平屋としての存在感を持たせるようにしている。
また祇園祭の時に、西側(参道側)に空地を設けることで屋台等による縁日的な販売が行なえるようにしている。
平面構成と立体構成
西側(参道側)に物販機能を配置し、縁日と一体となることもできるとともに、特徴のある格子組を見せるエントランスとしている。東側のモデルハウスとの広場側に大きな屋根下空間が出来るようにした。またその屋根した空間に面して情報コーナーを配置している。バイパスと反対側は、サービス動線とし機能を明確に分離している。物販施設の内部については天窓を設け、内部照度を確保し格子組が生きるようにした。軸線上の格子組は、これらの機能に対して並べられ、建物の軸となるようにしている。これらの木架構については地場産材を用いている。

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