近江 隆

近江 隆 (東北大学都市分析学研究室)

 1966年大学院1年生のとき岩手県沢内村の豪雪山村開発総合センター(役場・農協併設)を設計したが、吉阪隆正先生の一言で筆を折り研究一筋の道に進むこととなった。数十年後、「地底の森ミュージアム」、「都市計画の家」のプロジェクトに参画するが、「場所」を見る目が建築家のそれとは異なる自分を「都市家」と規定した。都市家が理解しつくる空間はこうだと学生達に話している、そんな場面に飛び込んできたのが社会人大学院生となった芳賀沼君である。彼はこのプロジェクトの発注者であり建築家である。都市家の私はこの発注者と、時間と空間を持続させる都市というもう一人の発注者の代理人・設計者として振る舞う。私の権力は指導教官という立場にあるが、それでは十分でない。建築より都市が優位するという共通の意識がなければ、この権力の委任は無いのである。今後このような委任がどのように一般化できるのか考えてみたい。都市空間を豊かにすることを目的に住宅を発注する人は一般的にはいない。しかし、平均的に見れば自分の欲望に合わせて取得した住宅に人はせいぜい10〜20年しか住まない。マンションの終末を研究している私は、地底の森ミュージアムに横たわる2万年前の樹木の亡骸のように、多くの建物それ自体が都市との関係を失って亡骸となってしまうことを危惧するのである。(近江 隆)


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芳賀沼 整 (はりゅう ウッド スタジオ)

 中山間地域での定期借地権の活用方法を検証し学ぶために近江先生の研究室にいれて頂いたのですが、「都市計画の家」のプロジェクトに参加することになり多くのことを学びました。
 住宅として理論を施主にするという貴重な体験ができたことには心から感謝しています。(芳賀沼 整)