作品紹介

照国寺改修

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照国寺改修

福島県南会津郡南会津町

この寺は鎌倉時代、建治3年(1277)に開基された、南会津郡南会津町伊南村にある時宗一向正派の寺院である。久川城河原田家の菩提寺から、蒲生氏郷配下になった後、安永9年(1780)頃に現在の本堂が建設された。現在で築232年を数える。

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■敷地の位置

旧伊南村の古町地区に照国寺はある。冬期間には2m以上のの積雪がある地域でもある。

檀家だけでなく旅の人達の行き倒れた無縁仏を供養した遺骨も並び置かれている。

過疎の山村の高齢化した檀家による修繕の事業はどのような意味を持つのか。

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■改修前1

雪の重みを支える柱が建物の廻りに付けられている。

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■改修前2

外壁部分についてもかなりの痛みがある。

雪害を逃れるためサイディングの壁が打ち付けられている。

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■改修前3

かつての照国寺は茅葺きであった。

昭和45年 (1970)に茅葺き屋根にトタン被せ葺き工事を行いその後は2010年現在の改築までに小さな修繕でしのいできた。

これは昭和40年当時
先代住職の写真。

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■建設委員会

寺の存在は、様々な理由で跡取り不在の檀家にとって、心の支えでもある。その修繕費の合計は、寺社専門の改築業者が示す見積額の半分を満たすに過ぎないものであった。

建設委員会を作り、工事内容に関する説明会を開き檀家内での意思統一をし、委員会によるCM方式を活用すること。多少のリスクは承知の上で予備費を削りCMの方法を行った。この写真は建設委員会での打ち合わせの様子である。

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■照国寺だより

建設委員会での打ち合わせ内容は、照国寺だよりとして新聞をつくり、檀家の方への周知を行なった。

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■改修の方針

改修の方針としては以下のとおりである。

1)傾いた構造体の修正と、屋根の耐久性高め、今後大規模な修繕が50年程度行なわなくて良い想定をすること

2)基礎と床下間の通風を確保し、昔ながらの置き石を撤去させないこと

3)アルミサッシュなどの既製品寸法が合わない前提でも、建具周りや縁側が傷まない工夫をすること

4)他の地域に転居した檀家さんが見ても理解できる昔ながらのシルエットを保ち続けること

5)内装材や下地も、本来の意思を伝える材料はできる限り残してゆくこと

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■基礎工事

基礎工事の様子。束石を残しながら、コンクリートを流し込み束石の補強を行なった。

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■屋根工事1

屋根工事の様子。足場を組みトタンを外し、茅も全て外す作業を行なった。

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■屋根工事2

屋根工事の様子。茅を結んでいた材料が見える。

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■内装工事

内装工事の様子。建具を全て取り払うと、時宗の寺の原型でもあるように、外部の風景がみえる。西側の伊南川方面には、檀家の墓が見える。

畳敷きの下地は断熱をし、合板による補強を行なった。

撮影 藤塚光政

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■完成1

完成後建物正面雪の重みを支えていた外周部の柱を集約し、よりシンプルな寺の形となった。

 

撮影 藤塚光政

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■完成2

完成後改修前の変わらないシルエットが残る。

 

撮影 藤塚光政

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■完成3

北側の檀家の墓よりみる

 

撮影 藤塚光政

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■完成4

完成後建物室内。建具の気密性を上げて、少しでも真冬に暖かい空間を目指した。

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■完成5

向拝の前の部分ものぼりやすくなっている。

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■完成6

外陣の様子。

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建築概要

■建築概要

 

所在地●福島県南会津郡南会津町古町
主要用途●寺院
設計監理●はりゅうウッドスタジオ
施工●会津建設株式会社
設計期間●2008年5月〜2010年3月
工事期間●2010年4月〜2010年12月
構造●木造
延床面積●248.51m2
建築面積●302.28m2


sekkei

 

  • 1.檀家の方による建設委員会による分離発注のサポートをしました。
  • 2.完全な寺院の復元ではなく、時代に応じた改修方法を提案しました。
  • 3.檀家の方の意思決定について、ワークショップを開いたり、新聞を発行する等の工夫をしました。
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