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部屋の家・針生の箱 2

縦ログ構法による最小限の箱

生活に必要最小限な2つの個室「部屋」を縦ログパネルでつくり、山間地では3か月を共にする「雪」「外気」「地中」の3つの外部要素に対して、最小限に温熱環境をコントロールする領域としてガラスに包まれた中間領域を設置しました。冬の太陽光は貴重なエネルギーであり、ガラスの中間領域は日中は日射熱で、夜間においても地中熱によって凍結しない程度に温度を保ちます。

用途:住宅
延床面積:58.92㎡(2階建)
構造:木造在来工住宅法(縦ログ構法)
施工:はりゅうコンストラクションマネジメント
設計:はりゅうウッドスタジオ、はりゅうコンストラクションマネジメント
総工費:

Photo by Shinkenchikusha

Photo by Shinkenchikusha

Photo by Shinkenchikusha  「部屋の箱1」の上部から「部屋の箱2」を見る。ふたつの箱には縦ログパネルを直交させて重ね、ボルトによりひとつに固定化した「クロスログパネル」と呼ばれるパネルを使用した。

Photo by Shinkenchikusha  二つの箱は95㎜角材を2層に重ねたパネルでつくられている。

Photo by Shinkenchikusha  西側立面。玄関の扉を開けると、クロスログパネルの壁面について階段を見ることができる。

Photo by Shinkenchikusha  南西側遠景。生活に必要最小限なふたつの個室と、それらを囲むガラス張りの中間領域という構成。2013年に240㎜角の縦ログパネルを用いて建てられた「ほしっぱの家」が右側に見える。

「部屋の家」を構成する森と文化と歴史
それまで地方の農家住宅にあった、外便所や外風呂の離れ方式の暮らしが消え去って久しい。勉強部屋のように機能ごとに部屋を与えて、必要な時に使い、必要なければ使わないという生活に違和感があった。
「部屋の家・針生の箱2」では、個室を難波和彦氏のいう最小限の社会に開かれた「箱」ととらえて、単純機能の何もない箱同士の相互関係として空間を構成している。生活を細分化して住宅の機能ごとに分析し、廊下などの概念を消す「住宅要素の記号モデル」の実践である。
「部屋」という最小限の領域を縦ログパネルでつくり、山間地では3か月を共にする「雪」「外気」「地中」の3つの外部要素に対して、最小限に温熱環境をコントロールする領域としてガラスに包まれた中間領域を設置した。海抜800mを超える寒冷地では、冬の太陽光は貴重なエネルギーであり、ガラスの中間領域は日中じゃ日射熱で、夜間においても地中熱によって凍結しない程度に温度を保つ。縦ログパネルに囲われた「箱」は、シェルターでもある。比熱の高い物質を表面に使用すると、身体に触れたとき冷たく感じる。それを避けるために表面が暖かく感じ、断熱材としても働くスギ材を箱として宙に浮いた状態とすることで、弱い蓄熱効果を持つ断熱シェルターと想定した。

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