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富岡の蔵

起点としての建築の役割

東日本大震災による津波から6年半(2017年当時)が過ぎ、さまざまな残骸は撤去され、常磐線の東側から海岸線までのエリアでこの蔵だけが唯一建ち続けていました。屋根まで津波に浸かった建物として、ただ強かったという意味ではなく、残さないといけない何かを感じさせる建物であるために残ったと感じています。

建物概要
用途:蔵
構造:木造
施工:はりゅうコンストラクションマネジメント
設計:はりゅうウッドスタジオ
総工費:

Photo by Shinkenchikusha

津波の後に残った蔵

Photo by Shinkenchikusha  野地板の上にポリカーボネートを架けた。

Photo by Shinkenchikusha  軒下からの見上げ。

 

起点としての建築の役割
津波の後6年半が過ぎた(2017年当時)。さまざまな残骸は撤去され常磐線の東側から海岸線までのエリアで、蔵だけが唯一建ち続けていた。屋根まで津波に浸かった建物として、ただ強かったという意味ではなく、残さないといけない何かを感じさせる建物であるために残ったと感じている。
最初にしたことは、丁寧に瓦を屋根から下ろすことだった。鬼瓦や5枚重ねのぐしから1枚1枚手作業で行い、母屋、登り梁を外し、漆喰で覆われて屋根下地を露わにした。そこに時間を遡るように富岡の森で切り出したスギ材の登り梁を取り付けた。
屋根に敷き込む野地板は50㎜前後の材料を荒木のまま使い、厚さ10㎜以内の誤差は気にせず目透かしで敷き込んだ。表皮に使うポリカーボネートの中波は縦波折りで多少の誤差は頓著せずに施工ができると考えた。気取りの際に縦ログを取った残りの端材はできる限り厚みを出し、施主の父が植林し手入れをした木材の表情をありのまま残すように配慮された。

 

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