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家業

家族の生活を包む大きく柔らかな器

南会津に位置するこの住宅は、家業である蕎麦屋を受け継ぎながら、創業から50年以上この駅前に佇み駅前の変貌を見続けてきました。
外部を遮断するような閉じたものでなく、家族を守る最小限の生活を包むだけの柔らかな器。それが家業を背負い駅前で住む家族のための住居の一つの答えであると考えました。

建物概要
用途:店舗併用住宅
延床面積:258.98㎡(2階建)
構造:木造在来軸組構法
施工:芳賀沼製作
設計:はりゅうウッドスタジオ
総工費:

まつりの風景。

日中の外観。

店舗のお座敷の内観。外壁に、塩化ビニール樹脂製の紙を用い、外部からの柔らかな光が座敷に広がりを見せる。

1階の店舗。机、椅子、家具等も全てオリジナルな設計。

三姉妹のそれぞれの個人スペースは、畳二帖のボックス。最小限のベッドと机、収納を機能的に組み込んだ。

住居部分のリビング。

駅前公園。

駅前開発前の旧柏屋。

夜景外観。会津田島駅に降り立つと、このような風景が広がる。ぽっと明かりが灯ったような外観は、やさしく訪れる人を迎え入れてくれる。

夜景俯瞰。左の建物が家業。右の建物が会津田島駅。

設計コンセプト
南会津に位置するこの住宅は、家業である蕎麦屋を受け継ぎながら、創業から50年以上この駅前に佇み駅前の変貌を見続けてきた。新たな駅前整備計画により、整備区域内の他の店舗が皆バイパス沿いの代替地に移っていく中、施主は個人店舗としては唯一この場所に留まることを選択し立て替える経緯となった。それはこの場所に対する愛着と家業を継続することに対する誇りの表れといえるかもしれない。
外部を遮断するような閉じたものでなく、家族を守る最小限の生活を包むだけの柔らかな器。それが家業を背負い駅前で住む家族のための住居の一つの答えであると考えられる。
塩化ビニール樹脂製の紙を外壁に用い、一階店舗には波形ガラスや、竹の格子建具、二階住宅には、木のルーバーと防雪ネットなど、場所によって最適だと思う素材を外部に対する最小限の防御として重ね合わせている。上部のトップライトからの直射光と外壁からの柔らかい光により、二階全体が外部のような意識を感じることができるようになっている。広場や道路との間にこの壁を隔てて施主の生活がある。生活する姿は影絵のように映し出される。
駅前を降り立ったときに最初に目にするものがこの住宅である。行灯のようなこの住宅は閑散とした駅前の風景に潤いを与えている。

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