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馬絹釜

土間の工房のあるすまい

土地の形状は南北に細長く、マンションや駐車場に切り分けられていましたが、背面の竹林は取り残されていました。この分断された敷地に一体感を取り戻し、連続した敷地を呼び戻すような建築が必要であると考えました。

建物概要
用途:工房併用住宅
延床面積:339.70㎡(2階建)
構造:木造在来軸組構法
施工:芳賀沼製作
設計:はりゅうウッドスタジオ
総工費:

南側外観。高さを低く抑えた軒は、建物のボリューム感を消し、敷地に対してひっそりと佇む。シンプルながら格子によって奥行き観を感じられる。

北立面、竹林側から望む。敷地は段丘の南斜面。中央の開口部は、裏庭と前庭とつなぐ土間部分。

東側、和室を望む。左側下屋部分に玄関があり、長い通り土間が続く。

裏庭の竹林が透けてみえる。南側の外壁は、全てこのように観音開きに開け放つことができる。大きく開くと静的な外観の表情に一気に躍動感が加わる。

工房の釜場。床は素焼きのタイル張り。

設計コンセプト
代々受け継がれてきた土地に対しての意識は、様々な障害によって薄れるのが常であろう。この家族が新しい住まい方を模索していた折り、陶芸家の父が他界し、娘は父の後継者として陶芸家の道を歩みはじめた。母と娘はこのような生活の変化に対応しながら住み続けていくことになる。
敷地は都会には珍しい閑静な住宅地にある。土地の形状は南北に細長く、マンションや駐車場に切り分けられたが、背面の竹林は取り残されていた。この分断された敷地に一体感を取り戻し、連続した敷地を呼び戻すような建築が必要であると考えた。傾斜と交わるように整然と区画された空間は、連続する障子や木格子により、ゆるやかに外部を取り込み、さらに土地所有の意識を促す役目を果たしている。このようにして建築のもつ物質的存在価値を超えた目的を達成させようとしている。

 

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