スタジオコラム 家族をまもる小さな箱

Category スタジオブログ スタジオメモ — @ 2013年6月29日

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(写真は後藤徹雄さんによる撮影です)

 2011年3月11日の夕方、僕たちの行動は、仲間の安全を確かめることと、被害の大きそうな地域から順に施主の安否を確認する事から始まった。

 当時、僕たちの設計した住宅に住むTさんともやり取りをした。3人のお子さんがいる5人家族のお宅である。当時、地震では大きな問題がなかったと覚えている。

 郡山市内にあるTさんの敷地は、傾斜地にある変形した土地であった。コンパクトな家に両手で抱えるほどの大黒柱があり、家を支えていた。打ち合わせの中でプランがしっかりとまとまった住宅だった。

 数ヶ月後、僕たちは一時的に会津から郡山に拠点を移し、木造仮設住宅の設計に昼夜帆走していた。

 Tさんから、放射線量に関する相談があったのはその頃であった。自宅周辺に空間放射線量が高いホットスポットがあるということだった。転校する同級生も出てくる中、住み続けるということを選択された。

  それまでにTさん自身も外壁、屋根を洗い、雨を含むデッキを解体する等、一定の効果はあったが、依然高いままであった。まず敷地のコンクリート舗装を行なった。コンクリートで舗装した部分は大幅に空間線量が下がったが、依然として前面道路が高く、それが家の内部にも影響していた。

 その後Tさんの紹介による放射線を防ぐ効果のあるボードをつかうことになった。病院の放射線室をつくる材料で、鉛も含まれておらず、石膏ボードと同じ厚みであり、建築工事としては扱いやすい。

 改修は、Tさんと相談し、2Fのオープンスペースであった部分に、放射線を防ぐ子供室の箱をつくることにした。

秘密基地のような各々の場所をつくり、改築してよかったと思える楽しさも造りたいと考えた。子供室の空間線量は外部に改修前の28%〜42%減となる効果があった。

 これまで放射線対策としては、コンクリートの壁を外周部に張り巡らし方法等も提案されていた。まちに対して閉鎖的になるものであった。内装材により、今の住宅を改修して住むことは、現実的であり、改修前と違和感がなく住むことができる。住宅の中の必要な部分だけを守ると言う方法である。まちに対しても開くことのできる将来の可能性が残った。

 先日訪問した時に3人のお子さんが住む箱の中はまだ区切らずに、筒のようになっていた。これから区切るそうである。

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